戦後生まれが8割を超え、平成生まれも25.6%と全人口の4分の1を超えたという。当然のことながら「戦争を知る世代」は減り続け、「戦世(いくさゆ)ぬ哀り」を語る人たちも減っていく▼平成最後となる全国戦没者追悼式がしめやかに行われた。沖縄をはじめ内外の激戦地へ赴き、すべての戦没者を悼む慰霊の旅を続けてこられた陛下の出席する最後の式典でもあった。お言葉を述べ終わっても、たたずみ続けるお姿に鎮魂の祈りをみた▼慰霊の日、広島と長崎の原爆の日、そして8・15。「記憶しなければならない四つの大切な日」と位置付け、今年もまた「過去を顧み深い反省」をお言葉にされた▼対照的なのがアジア諸国への加害責任について6年連続ふれなかった安倍首相である。01年当時の小泉首相が責任を明確にし、以後の歴代首相が必ず言及してきた「反省」だ▼思えば平成は明治以降において唯一、戦争のなかった時代である。平和があたりまえの「非戦の平成」を私たちは生きている。幼き子らが生きる未来にも「非戦の時代」が続いていくことを。記憶の風化にあらがい、ひたすらに語り継ぎ歴史に学ぶ営みが続くことを願う▼反省に目もくれず、政権は集団的自衛権容認など「戦争できる国」路線を突き進む。いったい誰が戦世を望んでいるのか。(慶田盛伸)
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