与那国島の住民所得増加率が西日本ランキング2位に輝いたと先月の週刊朝日が報じていた。それによれば17年の町民1人あたり年収は318.7万円で、12年比で26%の増加。要因は言わずもがな陸自配備である。隊員家族約250人は全人口の15%ほど。隊員の平均月収は30~40万円で、へき地勤務手当がつくのだろう▼沿岸監視隊の駐屯地や宿舎整備のための工事に伴い、宿泊や飲食などそれなりに地域経済は潤ったという。現在はどうか。週刊誌は「ネット通販利用者が増えて運送業者が忙しい」と伝えている▼つい複雑なものを覚える。他人の財布を気にしても仕方ないが、同じ島に住みながらその収入格差は町民間に微妙な違和感をかもしださないか▼尖閣警備強化で海保職員が急激に膨らんだ石垣市はどうか。それなりに増加したに違いないが、全人口という分母が与那国より大きいだけにさほどの伸びがみられなかったのだろう。ランク外である▼それにしてもいったい誰が住むのか。次々と完成する新築アパートは、外構工事も終わらぬうちに入居が相次ぎ、日々の暮らしが始まっていく。住民登録はしているのだろうか。市の人口はいつまでたっても5万人を超えない▼人口増と所得増加は、はたして地域に活気をもたらすか。違和感を覚えるこの頃である。(慶田盛伸)
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