きょうの甲子園第4試合目に登場する白山(三重)は、山あいの弱小校が奇跡を起こしたとして話題を集めている。津市白山町は人口1万人余り。東拓司監督が赴任した5年前、部員は5人。そこから甲子園への道を切り開いたというニュースに接し、2006年に春夏連続甲子園を果たした八重山商工の思い出がよみがえった▼伊志嶺吉盛さん(現日本文理大学附属高校野球部監督)が03年に監督に就任した当時、厳しい指導に退部が相次ぎ、のちに主将となる佐久川直浩君ら1年生2人だけになったことがあった▼新入生が入部してくるまで200日余り。「つらくて辞めよう」と思ったが、監督が座右の銘とする「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の精神で危機を乗り越えた▼佐久川君の夢はかなわなかったが、大嶺祐太(現千葉ロッテマリーンズ)ら1学年後輩が05年のセンバツで実現。出場決定の知らせに湧くグラウンドで、卒業を控えた佐久川君が胴上げされていたのが印象的だった▼白山の少ない部員も、監督が言う「自分にできる小さな変化を続けていく。それが、大きな変化につながる」を実践、グラウンド整備をしながら新入生を待った。そして後輩たちが目標を達成した▼両校の夢実現の過程は、いろんなことに通じるものがある。(比嘉盛友)
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