ハローワーク八重山雇用対策推進協議会(黒嶋克史会長)がことし2月、若年者労働力の確保に向けて開催した「八重山地区企業説明会」でアンケートを行ったところ、八重山以外で進学・就職を希望する高校生が将来的には地元に戻りたいと回答した割合が54%に上ったことが分かった。協議会は、大学卒業あるいは一定の就職期間を経てUターンを希望する若年者を潜在的な労働力と位置づけ、子育て世代の女性、シニア、外国人雇用に加えた4本柱で各層に絞った人材確保を急ぐ構えだ。
若年者を対象にした企業説明会は2016年から年1回開かれ、企業選択の幅を広げようと、地元企業などの特徴や魅力を担当者が紹介している。ことし2月は八重山農林高校体育館であり、郡内企業54社に対して高校生を中心に186人が訪れた。
アンケートは企業と高校生向けに行われ、説明会の感想を中心に質問。企業52社、来場者141人から回答を得た。
高校生ではほかに、興味がある企業から「説明を聞けた」との回答が88%と高く、企業側の説明機会を求めていることがうかがえた。企業も継続参加を希望する回答が77%あり、若年者の取り込みを狙う姿勢が反映。説明会を通してマッチングに移行できれば、地元の労働人口を掘り起こす効果も期待できる結果となった。
同協議会は先月23日、本年度初めて開いた会合で、新たに子育て世代の女性層と55歳以上のシニア層を対象に企業説明会の開催を決め、郡内の雇用改善に乗り出している。
各層に絞った企業説明会について、社会福祉事業所の担当者は「特に医療と福祉の現場では人手が足りていない。建設業と同様に、きついイメージが先行して若年者が敬遠するケースもある。企業が各世代にPRできる機会は非常に貴重」と評価する。
協議会委員で沖縄振興開発金融公庫八重山支店の比嘉努支店長は「人材確保に即効性のある対策はないが、継続した対策を講じることが重要。八重山は本島と違って大学生はおらず、労働力は限られる。4本柱を軸にした人材確保は急務」と指摘。
黒嶋会長は「企業説明会への参加企業が年々増えている。人手不足への取り組みは待ったなし。官民が共通認識を持ち、積極的な対策を講じる必要がある」と協議会独自の取り組みの効果に期待する。