一年の豊作に感謝し来夏世(クナツユ)の地域繁栄や世果報(ユガフー)を祈願する四カ字(新川、登野城、石垣、大川)の豊年祭(ムラプール)が7月31日午後、石垣市新川の真乙姥御嶽で盛大に行われた。奉納衣装に身を包んだ字民や各地域の旗頭が一堂に会し、炎天下、巻き踊りや太鼓などで祭りをもり立てた。新川字会(入嵩西純会長)の「五穀の種子授けの儀」や、女性だけで行う「アヒャー綱」、勇壮なツナヌミンなども行われ、多くの地域住民や観光客が郡内最大規模の豊年祭を堪能した。
午後3時半、各地域の旗頭が集合してからムラプールが開始。入嵩西会長は「サトウキビも豊作、肉用牛も高値が続き、ことしはまさに弥勒世(ミルクユ)の年だった。来夏世も神々のご加護のもと、天恵豊かな年となるように」と願いをささげた。
新川字会が最初に奉納、五穀の植え付けから収穫までを踊りで表現。字会役員らが長老(ウヤジュウ)や世持(ユームツ)、婦人らが水主(ミズヌス)や鼓(ツヅン)、子どもたちが稲摺(イニスリ)、青年らが鎌払(ガギバライ)などをそれぞれ演じた。
双葉自治公民館、大川字会、石垣字会、登野城字会、JAおきなわ八重山地区本部、石垣島製糖㈱、石垣市役所、八重山農林高校、石垣中学校、東京八重山会が次々と奉納した。
御嶽前の通りで行われた「五穀の種子授けの儀」では、東から農の神、西からみこが、地域住民らに担がれて登場。農の神がみこへ五穀の種子を授けた。
女性だけで行う「アヒャー綱」では、棒貫人(ブルピトゥ)と呼ばれる女性が神司から「ブル棒」を授かり、雌雄の大綱に差し込むと、各字の女性らが乱舞し、祝福した。
棒貫人を務めた仲大範子さん(64)=新川=は「長い歴史ある行事の大役をおおせつかり、誇りに思う。長く見てきた地域の伝統だが、実際にやってみて棒の重みを感じた」と感極まった様子で話した。
祭りの最後は、旗頭と大綱が真乙姥御嶽の西約100㍍の場所に移動。なぎなた、鎌を持った2人の武者が戦う勇壮なツナヌミンで盛り上がった。最後の綱引きは開始早々に綱が切れ、引き分けとなった。