八重山郡内の豊年祭シーズンが19日、石垣市川平の豊年祭でスタートした。川平では同日午後、村内の四つの御嶽でそれぞれ願い(ニンガイ)が執り行われ、このうち赤イロ目宮鳥御嶽(通称アーラオン)では、「ビッチュル石」と呼ばれる俵型の石を担ぐ伝統儀式が奉納された。地域の青年5人が、村の繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)を祈って石を担ぎ、多くの地域住民や観光客が見守った。
石担ぎは午後4時半ごろスタート。担ぎ手の青年は勇ましい掛け声とともにビッチュル石を肩に担ぎあげ「ゆいっ」と気合を入れながら境内を3周半歩いた。額に汗を浮かべながら一歩一歩進む担ぎ手に、年長者たちは「声が小さくなってきたぞ」「あと一周あるぞ」などやじや激励を送り、奉納が終わると「ボーレー、マイフナー」とねぎらった。
高校1年生のころからビッチュル石を担いでいるという大屋実之さん(33)=川平=は、担ぎ手のトリを務め「砂袋を担いだり、スクワットをしたりして練習を重ねた。きょうの奉納は、川平村が安全で来年も豊年祭ができるように、と願いを込めて担いだ」とすがすがしい笑顔を見せた。
岸本亮さん(38)=川平=は「24歳くらいからずっと石を担いでいるが、年々重くなっていくように感じる。ビッチュルだけでなく、料理の用意など祭りの準備も含めて、豊年祭を子どもたちにも継承していきたい」と語った。
この日は午後2時から、村内の群星御嶽、山川御嶽、浜崎御嶽、赤イロ目宮鳥御嶽の各御嶽で願いがあり、午後5時ごろから山川御嶽と群星御嶽の氏子らが、石垣市消防本部川平出張所前のロータリーで旗頭をあげた。