「赤坂自民亭」の自民党有志議員の皆さんはその夜、家に帰ってぐっすり眠ったのだろうか▼西日本に大雨警報が出され、未曽有の水害が起き始めていた5日夜、安倍晋三首相を筆頭に政府与党の首脳らがこぞって、衆院赤坂議員宿舎の会議室で酒盛りし、民の苦しみにも心ここにあらずの神経が批判されている▼気象庁や報道機関が住民に対し、繰り返し「命を守る行動を」と呼び掛けている状況下、どんな心持ちで杯を傾けたのだろうか。酒盛りでは「自民亭の女将」でもある上川陽子法相の発声で「万歳」までしたとされる▼翌6日朝には、上川法相の命令を受け、オウム真理教の麻原彰晃代表ら7人の死刑が執行された。生きている人間に処刑命令を下す。重責な職務とはいえ、人としてどんな心境になるのか、精神的な重圧はいかばかりのものか。執行前夜の行動からしてその心を読み取ることはできない▼安倍政権下では「森友」「加計学園」「セクハラ」「公文書改ざん」などが次々と起こった。問題への批判をかわし、国民に忘れさせようと努力する姿勢にこそ、安倍政権の危険な本質があるように思えてならない▼政治の世界は一寸先は闇と言われる。そこで権力闘争に終始するばかりでなく、人間味にあふれ、暗い疑いを持つことのない国の政治を望みたい。(鬚川修)
↧