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中国大使ぜひ招へいを

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 ■12月に記念イベント

 「世界平和の鐘」が設置されてことしで30年を迎えることから、石垣市は12月に平和の鐘を設置している国の大使や自治体などを招へいし、記念事業「ピースベルアイランド・イシガキ2018」を開催することになった。

 自衛隊配備をめぐり市民が対立する中、去る3月の選挙でも中山市長を推薦した公明石垣の大石行英氏が「第三の道」として繰り返し要望してきたことが実現することになったものだ。

 世界平和の鐘は戦後間もない1954年、中川千代治元宇和島市長が戦争の悲惨さ、平和の尊さを説き、当時の国連加盟国から提供されたコインやメダルを使って製造。国連本部に提供したのが始まりで、その後海外16カ国、国内5自治体に設置。1988年に日本の第1号が最北の北海道稚内市、第2号が最南端の石垣市に設置された。

 ■中国大使は出席するか

 今期限りで勇退する大石氏は、自衛隊問題で市民が分断・対立している現状を憂え、「平和の鐘設置30周年式典を開催し、石垣島から平和の潮流を巻き起こしてほしい」と外交を基調とする「第三の道」を提唱した。

 そして石垣への自衛隊配備が尖閣諸島をめぐる中国脅威論を根拠としていることから、「今回はぜひ中国大使を招へいし、実現すれば唐人墓での桜の植樹、慰霊祭など友好関係を築く目玉イベントになる」と強く要望した。

 これに応え今月12日に委員65人で立ち上げた初の実行委で中山市長は「石垣島から世界に向けて平和を発信していきたい。世界の駐日大使に石垣島の良さ、心の温かさを伝えていきたい」と語っていたが、果たして単発のイベントでどういう成果が得られるのか。

 まず肝心の中国大使が出席するかどうかだ。中国は平和の鐘設置国でもないし、安倍政権に追随して中国脅威論をあおり、その抑止力として石垣に自衛隊配備の必要性を強調する中山市長の対中姿勢を見ると、クルーズ船が石垣寄港を回避した例もあるし出席の可否は悲観的にならざるを得ない。

 ■武力でなく交流で平和希求

 式典には中国をはじめ米国など22カ国・地域を招へい。2日間の日程でもてなすことにしているが、中国関係者が来れば中国との友好関係を築くきっかけになるものの、来なければ同イベントの意義も半減しかねない。

 しかも大使らの旅費は通常は招へいする側が負担するだろうから、多額の予算をかけて思ったほどの成果がなければ、市民から「これは市長選を応援した公明党への市長のお返しイベントだった」とのそしりを受けかねない。

 尖閣を抱える石垣市に中国軍向けミサイルを備えた自衛隊配備や市議会の尖閣字名変更決議などは中国からすれば明らかに挑発だ。日中関係が冷え込む中、右手で銃を突き付け、左手で友好の握手を求めるようなやり方では真の信頼関係や友好関係は築けない。

 石垣市は自衛隊などの武力でなく、あくまで自治体レベルの経済・文化交流を「第一の道」として平和を希求すべきだ。幸い中国と沖縄は古くから交流の歴史がある。市長の出方次第で中国も出席し、友好と信頼の絆も礎も築けるだろう。年の瀬のせっかくの平和イベントを実り多いものにしたい。


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