6月中旬に台北市内で行われた観光イベントは印象的だった。八重山商工高校の小田島汐音(しおね)さん(16)と上地海春(みはる)さん(16)がステージでのPRを終えて戻ってみると、台湾の大学生が花束を手に待ち構えていたのだ▼この話には続きがある。同行したおとなたちの勧めもあって、二人は花束を台湾の人たちにプレゼントしているのだ▼二人がミス八重山の仲道英理さん(26)らとステージで「安里屋ユンタ」などを踊っていたとき、司会に促されてステージで一緒に踊った台湾人がいる。贈り先はこの台湾人▼台湾にやってくる八重山の高校生を取材していると、いい場面に遭遇することが少なくない。今回の花束の一件は、とりわけ秀逸だ。八重山が台湾でいかに浸透しているかを示しているだけでなく、そこから一歩進んで高校生が台湾の人たちとじかに触れあうことができたのだから▼同行したおとなからは「観光客をどのように八重山に誘致しているのか、島の高校生が実感できるのはいいこと」との声も。100万人観光が当たり前になっている日常だからこそ、観光PRの現場を知ることに意義があるというわけだ▼この3連休で、八重山の夏の観光シーズンは本格化する。島の若者も、観光客がいる日常を新たな視線で眺め直しているかもしれない。(松田良孝)
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