竹富島伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に現存する保存物件の雨漏り対策として、赤瓦屋根と天井部分の間に杉板張りでのルーフィング施工が2019年度末までの期限付きで可能となる。12日午後、町教育委員会で開かれた18年度第1回同地区等保存審議会の中で認められた。竹富公民館によると、同物件の修復にかかる施工精度の低下や使用素材の変化に伴い、多くの家屋で雨漏りが発生し住民生活に支障を来している。暫定的な措置に加え、工法の復元や研究を進めることも確認した。
保存物件は現在、竹富島伝統工法で野地竹、土、赤瓦の順で屋根部分を造っている。近年、屋根の修復工事後に雨漏りする家屋が出ており、公民館は対策としてルーフィング赤瓦ぶきを検討していた。今回、天井部分に防水材料のアスファルトルーフィングと杉板を使用した施工方法が承認された。雨漏りの保存物件に対して、竹富町歴史的景観形成地区保存計画(伝建マニュアル)を見直す19年度末までの措置。
参加した委員からは、暫定的な対応としての意見が出る一方で、伝統工法の継承を心配する声も。
旧与那国家住宅の修復を例に挙げ、北海道大学教授の西山徳明氏は「きちんとやればできることが示されている。コスト面もあるが、この技術を確立し残さなければならない」と意見した。
事務局は今後、竹教委定例会で報告し承認を目指す。
同審議会を前に、次の委員に委嘱状が交付された。任期は2年間。
▽会長=池田孝之▽副会長=備瀬ヒロ子▽委員=西山徳明、平良啓、上勢頭篤、水野景敬、新田長男、石垣金星、大盛聰