2013年ごろに台風の影響で枝が1本折れるなど、樹勢に衰えが見られる白保小学校(仲皿利治校長)のアコウの土壌改良作業が6月30日午前、同校であり、同校PTA(赤嶺勤子会長)の会員や子どもたち約50人が炎天下、時折雨も降る中、作業に汗を流した。仲皿校長は「白保独自の文化財に目を向け、素晴らしさを再認識してもらうきっかけになれば。今後も大事に守り続けたい」と話している。
アコウは、デイゴとガジュマルに並ぶ同校の三本木のうちの一つ。白保村のシンボルで、地域住民の心のよりどころとされ、白保公民館の文化財に指定されている。
「白保公民館指定文化財ガイドブック」によると、学校建設のあった明治末期から1932(昭和7)年ごろに植えられたのではないかと考えられており、市発行の「緑の戸籍簿」では、いずれも樹齢は100年以上と推定されている。2011年には、沖縄の名木百選にも選ばれた。
今回の作業は、1998年4月19日付の読売新聞で、三本木と同校の児童を紹介する記事を読んで感銘を受けた後藤チエ子さん=神奈川県厚木市=の寄付を受けて実施。
樹木医の樋口純一郎氏=一般社団法人日本樹木医会沖縄県支部長=の指導で、参加者がアコウから半径7・5㍍離れた地点52カ所に直径20~30㌢、深さ70㌢の穴を掘り、完熟牛ふん堆肥を入れる作業を行った。
樋口氏は「成長の時期なので、今後新芽や葉の数が増え、ことし中に成果が見られると思う。木は長生きするので、子孫末代まで引き継いで守っていってほしい」と期待。
同校の少年野球チーム「白保轟」の主将で、作業を手伝った豊里友星君(6年)は「穴を掘って石を取り除く作業はきつかったが、関われてよかった。アコウが枯れると三本木ではなくなり、1本でも欠けてはいけない。今後は状態がどうなるか分からないが、大人になっても木を守っていきたい」と力強く語った。