石垣市は、法定外目的税である「入島税」を導入する方針を固めたことが21日、分かった。これまで観光産業に与える影響から具体的な検討をちゅうちょしていたが、観光客の大幅な増加に伴い、持続的な自然環境の保全や観光施設の維持整備を図る観点から方向転換した。本年度から専門家を加えた検討委員会を立ち上げ、具体的な取り組みを開始する。6月定例市議会で大得英信企画部長が友寄永三氏の一般質問で明らかにした。中山義隆市長は「スピード感をもって対応したい」と早期導入を目指す考えを示した。
同税は、地方自治体が特定の目的に使用するために条例で設定する税で、総務大臣の同意を必要とする。導入をめぐっては、市議会で長くその必要性が指摘されてきたが、当局側は、観光業界などの反発で時期尚早と具体的な検討を見送ってきた経緯がある。
しかし、新空港開港以降の観光客数の増加傾向を受け、ごみ量の増大、自然環境への負荷、観光施設の老朽化など地域の課題が浮上。
大得部長は「これまでは観光産業に与える影響から踏み切れる状況になくちゅうちょしてきたが、観光客が飛躍的に伸びており、これまでとは状況が変わっている。積極的に導入を検討する必要がある。新税導入の必要性は高まっており、できるだけ早い時期に導入できるようにしたい」と述べた。
中山市長は「観光地の整備、環境保全のために法定外目的税は必要」との認識を示した。
検討委では▽課税対象▽課税方法▽納税義務者▽納税方法—などの課題を抽出するとともに解決する方策の検討に取り組む。
市の試算によると、障がい者と高校生以下を除く昨年1年間の入域者数に1人当たり100円を課税した場合、1億5598万円の税収が見込まれる。総務省によると、入島税を導入した場合、課税対象は、市民も加えた入域者全員になるという。