断捨離。いらないものを絶ち、捨て、ものへの執着から離れることで、自身の心を解き放つことをいう▼なるほど見回せば使っていないものは多い。お祝いの引き出物など「そのうち使うかも知れない」はすでに不用品である▼では、これはいったい何のため、誰のための断捨離だったか。中学生用副読本「八重山の歴史と文化・自然」の配布中止である。石垣市議会で南京事件や従軍慰安婦問題などを指摘された結果、市教委は自らの事業で刊行したせっかくの良書を、ふるさと八重山を深く知る「知識と知恵」そのものを捨てる、焚書坑儒の愚行に出た。昨年のことだ▼執筆者はもとより地域の強い配布継続の要望を教委はかたくなに拒んだ。誰への忖度(そんたく)だったか、教委そのものが子どもたちの学習機会を奪う信じられない行為に及ぶ▼このたび刊行委員会が一般向け書籍「八重山を学ぶ」として発刊した。一読して教委の罪の大きさを痛感する。近現代史のどこが問題か。結果、何ということをしてくれたか▼豊富な絵図、写真や統計、人物伝、思わず「へえ」とうなるコラムなど、八重山の自然・歴史・文化を学ぶ指針だ。全県の書店で好評販売中。「目からうろこ」も「あるある」も「お宝」がもれなく網羅されている。私たちも学ぼう。ぜひ一家に一冊を。
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