防衛省の平得大俣地区陸上自衛隊配備計画をめぐり、石垣市は11日夜、全市民を対象にした初の住民意見交換会を市民会館大ホールで開いた。200人余りが出席、中山義隆市長らは「ミサイル基地があると逆に危険だ」「中国が攻めてくる可能性がある」などと反対・賛成双方の意見を聞いた。市は意見を整理して同省に伝え、質問については配備予定地周辺4地区への回答と合わせて公表する考えを示した。受け入れ可否の最終判断について中山市長は「適切な時期にと考えており、この場では答えられない」と明言を避けた。
意見交換会は「昨年5月に配備候補地の施設配置案が示されていることから、住民福祉の向上を図る任を負い、市民の生命、財産を守る市長の立場から、市民の意見を直接うかがう」として開催。配備計画に関する質問を受けた後、反対、賛成の意見を交互に聞く形式で進めた。
反対意見では「ミサイル基地だから危険。外交交渉の方向にある世界の情勢に逆行する」「東アジアは依存関係で成り立っている。ミサイル基地は無意味」「トランプ大統領は日本に武器を売りたい。安倍首相も中山市長もこのために基地がほしいのか」「法的根拠のない専権事項で住民を押さえつけるのか」「中国が侵略すると言うが、攻めるなら基地を造る前に攻めるはずだ」など。
賛成意見では「自衛隊がいれば、迅速に急患輸送ができる」「有事のときには自衛隊に託す以外にない」「中国は沖縄を取り返すと言っている。抑止力がなければ中国軍が上陸して占領し、島全体が中国の軍事基地になることはあり得る」「島に落ちるお金にも期待する。基地周辺整備事業でインフラの整備もできる」「侵略されたくはない」「若い人が入ってくるので活性化する」などがあった。
質問では、賛成派から「防衛大臣の要請から4年がたつ。市長はいつ表明するのか。早く表明してもらいたい」と迫る声がある一方、「反対の市民から意見を聞く機会をつくるのも大事。ほんとうに必要なのか、もう少し議論したほうがよい」との指摘もあった。
一方、質問を1分以内、意見を3分以内とされたことに「市民に対する姿勢が疑わしい。進行の仕方は事前に知らされていない。4公民館への対応も礼を失している。市長は物理的に難しいというが、島内10カ所くらいで意見交換会をやればお年寄りも参加しやすい。急ぐ理由があるのか」と疑問の声も。
中山市長は記者団に「今回の意見交換会は全市民を対象にしたので、各地区を回る必要はない。十分に意見を聞けたと思う。発言できない人は出口で書いてもらった」と述べ、市民との意見交換会を今回で終了する意向を明らかにした。