公共交通空白地帯を解消し、北部地域の過疎化に歯止めを掛けようと久宇良公民館(吉田友厚館長)がマイクロバスによる旅客運送を計画している。運用開始時期は未定だが、公民館単独事業による収益で無償運行を行う方針。石垣市地域公共交通協議会(会長・漢那政弘副市長、委員35人)が7日午後、市健康福祉センターで開いた本年度第1回協議会で、同公民館の吉田館長が報告した。運行については、有償・無償で議論されたが、吉田館長が乗客からは運賃を徴収しない考えを示した。今後、北部から空港や市街地への運行経路なども市と調整することにしている。
同公民館によると北部地域の高校生は、市街地の高校まで保護者が送迎している。距離と時間が負担になり家族ごと市街地に引っ越すケースがあり、過疎化に拍車をかけているという。
公民館は、こうした生徒を公民館所有のバスで送迎して保護者の負担軽減を図るほか、高齢者など地域住民の足としての活用も目指す考え。
運行に向け定員約25人乗りのマイクロバスを市内の事業者から無償で譲り受けるため、現在、車庫証明や名義変更の手続きを行っている。
協議会では「有償旅客運送を行った場合」について討議され、沖縄総合事務局運輸部陸上交通課の伊志嶺友浩課長補佐は、「有償なら通常料金ではなく実費に近い料金で運行できる制度はあるが、事故の責任問題などから許可を得ているバスやタクシー事業者を使ってもらいたい。自家用としての範囲であれば運行は可能」と公民館に伝えた。
県ハイヤー・タクシー協会八重山支部の伊良皆高司支部長は「デリケートな問題。地域で困っている人の実情も分かるので、営業目的でないということを明らかにして協議する必要がある」と慎重な態度を見せた。
吉田館長は協議会の後、公民館が取り組む認定事業者制度により、公民館に納められた公認料でバスを運行する計画を示し、「地域のために、無償で運行させたい」と話した。