ことし10月1日開院予定の新県立八重山病院に、減圧症患者などの治療に使用される「高気圧酸素治療装置」が新規に導入されることが分かった。同病院が1日、入札を行った。現装置は1997年に導入されたもので、10年の耐用年数を大幅に超え、部品製造も終了しているため、部品が故障した場合に取り換えができない状況となっている。県病院事業局によると、新装置導入は、費用対効果などの面で予算の調整が難航していたが、医療機器購入費約17億円から捻出された
同装置は、ダイビングなどで減圧症になった患者を高気圧環境下に収容し、高濃度の酸素を吸入させることで組織の低酸素状態の改善を図る医療機器。
同院によると、減圧症治療による装置利用者数は97~2017年度の20年間で延べ142人で、年間の平均利用者は7人。直近5年間では13年度8人、14年度8人、15年度8人、16年度2人、17年度8人。
現装置は減圧症以外にも、急性末梢(まっしょう)血管障害や末梢循環障害などの患者も利用しており、八重山の医療を守る郡民の会(宮平康弘会長)と八重山市町会が「必要な装置」として新装置の導入を要請していた。
今回の入札について宮平会長は「住民生活、観光客にとって大事な医療機器だと思う。新病院の課題が一つ一つ解決して喜ばしい」と話した。
一方、現装置の運用では、年間約200万~300万円の赤字が出ている。新装置導入後も人件費など維持管理コストの面で課題が残る。
事業局によると、新病院の工事進捗(しんちょく)率は4月末時点で95㌫。完成は今月28日で、7月中旬に検査を終え、病院に引き渡される。その後、医療機器などが設置される。建物の内部はほぼ完成し、現在は駐車場など外構の整備が急ピッチで進められている。