2014年度から編集作業を進めている与那国方言辞典編集委員会(米城恵委員長)は、18年度中の発刊に向け準備を進めている。今回発刊分には約1500語を収める予定で、辞典名は「どぅなんむぬい辞典」(仮称)。「琉球のことばの書き方」を基本に表記し、表現が複数の場合は併記することとしている。
編集委事務局の町教委は14年度から島内や郷友会の高齢者らを訪ねて方言を収録し、月2回の編集委に提出。編集委は、事務局が示す例文の素案を精査、読み方や品詞、意味などについて確認している。これを8月まで続け、年度後半には関連図や写真などを選定する。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が発表した「消滅危機の言語」で、「どぅなんむぬい」(与那国島語)は深刻で重大な危機にあると指摘されている。日常的に使われていた言葉ですでに死語になり、消滅した例も。日常的に話す人は減り続け、島外からの転入者が増えており、島出身者と島外出身者の割合が逆転する状況も想定される。一方、古謡やキングイ(狂言劇)は方言でなければ成り立たない。
事務局を担当する町教委の村松稔さんは「想定以上に鼻濁音や発音のむずかしさがある。敬語が複雑で職場や地域であまり方言を耳にしない。母語話者がいない20年後を考えると危機感を覚える。今はしっかり取り組みたい」と話す。
町教委はこれまで「どぅなんむぬいバージョンラジオ体操」(CD)のほか「どぅなんむぬいのカルタ遊び」、「与那国語会話カード集」を児童生徒らに配り、町のイベント会場で読み聞かせをするなど伝承方法を模索している。(田頭政英通信員)