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鎮魂の6月を迎えて

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■しまの戦争の記憶展

 6月は23日に沖縄戦終結の「慰霊の日」があり、沖縄が平和への決意を新たにする鎮魂の月だ。しかし戦後73年を経てこの国は安倍政権の下、再びいつか来た道に戻っている危うさを多くの高齢者が肌で感じ恐れている。そういう鎮魂の月の企画として八重山平和祈念館で「しまの戦争の記憶~悲しみを乗り越えて」が1カ月の日程で始まった。同展で戦争の愚かさ、残酷さを学び、過去の歴史を無視し同じ過ちを繰り返しそうな安倍政権の軍国主義に歯止めをかけ、石垣に本当に自衛隊は必要かどうかを考える機会としたい。

 12日には史上初の米朝首脳会談もある。首相もこれを機に中国や北朝鮮脅威の政治利用や挑発をやめるべきだ。

 湾岸戦争以降の右傾化と若者の政治的無関心は、この国の民主主義を崩壊させ、独裁国家に導く危険がある。その兆候は首相に忖度(そんたく)する「安倍一強」政治で既に表れている。公文書の廃棄や改ざんで職員が自殺したのに当時の佐川宣寿理財局長ら関係者38人が、誰一人罪を問われないこの国はとてもまっとうな国と言えない。

 韓国は政治家や財界の不正に対して直ちに怒りの大規模デモがあるが、日本は政官財のウソとごまかしの不祥事続出にも国民の反応は鈍い。怒りを忘れた日本人、中でも若者たちはこの国の未来に危機感はないのだろうか。

 

■近い市長の最終判断

 

 先の大戦で多くの犠牲者を出した石垣島も再びかつての「軍隊配備」が目前に迫っている。中山市長は、なぜか急に、周辺4地区住民を対象にした自衛隊配備に関する意見交換会を強行。「安全保障は国の専権事項」と言い続ける市長に、その資格はないはずだが、近く最終判断に動く気配を見せている。

 市長は選挙戦で「ミサイル基地なら反対する」と主張していたが、敵から見れば市長がどう否定してもミサイルがあるところは「ミサイル基地」であり、市長は公約を履行すべきだろう。

 さらに市長は先月31日の意見交換会でただ一人出席した80代の男性が、自らの戦争体験を踏まえ「自衛隊配備は絶対やめてくれ」と訴えたことに「防衛省にしっかり伝える」とまるで人ごとのようだったが、むしろ市長は、このような勇気ある訴えこそ真摯(しんし)に受け止め、最終判断は自らでなく住民投票に委ねるべきだ。

 

■病魔とも闘う翁長知事

 

 その自衛隊受け入れを左右する石垣市議選や竹富、与那国両町の議員選が9月、同時に行われる。従って今月の定例議会は任期最後の議会だ。

 石垣市は現職、新人、元職合わせ30人余りが立候補の動きを見せているが、自衛隊予定地の市有地売却は議会の承認事項のため与野党とも過半数確保が最大の焦点。3市町とも島の未来を誤らない候補者をしっかり選びたい。

 署名運動を展開中の県民投票も、日本の軍事大国化と沖縄差別の象徴である辺野古の新基地を止めるため、ぜひ成功させたい。若者たちの熱意で政党と経済界の足並みもそろってきた。翁長知事も、懸命に病魔と闘いながら強大な権力に対峙している。沖縄を再び日本を守る「盾」にする日米による“軍事要塞化”を防ぐ必要がある。


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