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Channel: 八重山毎日新聞社
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戦時中の台湾の様子を知りたくて、台北から…

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 戦時中の台湾の様子を知りたくて、台北から1時間余りのところにある街へ94歳のおばあさんを訪ねた。私の来訪に合わせて家族や知人も数人集まり、言葉の通じにくいところを補ったり、私の拙い中国語を理解しようとしたりしてくれた▼集まった人たちは普段からおばあさんと接している。しかし、そうであればこそ、昔のことを正面切って尋ねる機会は少ないのだろう。みんながインタビュアーを務めるようにして取材は盛り上がった▼アジア太平洋戦争に関する取材でお年寄りに会いに行くと、八重山でも似たようなことが起こる。方言と標準語の橋渡しをするために付き添っている人が、話そのものに引き込まれていくのである▼このとき訪ねたのは客家の人たちが多く暮らすエリア。台湾のマジョリティーは漢族だが、その多数派のなかにおいて客家は人数が少ないグループである▼インタビューから帰ろうとすると、お土産に手渡された。鼻に覚えのある香り。月桃で包んだおもちだ。客家の言葉で「ニーバン」などと呼ばれ、大根を刻んで塩味を効かせたものや、豚肉のそぼろなどが中に入っている。翌日の朝食として胃袋に収めた▼強い日差しと蒸し暑さにげんなりしているのは八重山も台湾も一緒だ。月桃が香る季節であることもまた同じである。(松田良孝)


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