八重山が誇るサンゴ礁生態系との共存を目指し、持続可能な産業への転換を考えるフォーラム「サンゴ礁保全・再生に向けたローカル環境認証のアプローチ」(WWFジャパン、NPO法人石西礁湖サンゴ礁基金共催)が19日午後、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで開かれた。パネル討論では、有識者らが各事業者のサンゴ礁保全の取り組みを認定する制度「サンゴ認定(仮称)」導入の展望を議論。認定制度を一方的な権威付けとせず、自然との暮らしと経済発展を両立できる基盤の構築につなげていくとの認識を共有した。
認定制度は一定の基準を設けた上で、赤土や栄養塩流出、人的要因によるサンゴ礁生態系への負荷を低減し、保全活動に取り組む団体や事業者を評価するもの。
WWFジャパンとサンゴ礁基金は、地域の現状に即した内発的で継続的な資源活用の手段とされる「ローカル認証」に基づく認定制度を導入することで、サンゴ礁保全とともに各事業者サービスの差別化やイメージアップを図りたい考え。
制度導入に向け、2016年11月に関係者への聞き取り調査、17年には勉強会や調査報告、意見交換会を開催してきた。
パネル討論では、石垣市観光交流協会の高嶺良晴会長が「これまで入域目標値を定めてきたが、来年からは数値設定を止めた。観光の数から質へ。地域のキャパシティーや影響を考える時期にきている」と島内の観光実情に言及。
島内のエコツアー事業者ら19業者で組織する石垣島アウトフィッターユニオン会長の大堀健司会長は「県の保全利用協定では、行政はまるで、(観光業の)僕らはあめを与えないと保全活動をやらないような対応を取ることがある」と苦言を呈しながらも、認証が保全意識啓発への契機になることを期待した。
コメンテーターの北九州大学文学部の竹川大介教授は「あめというか、インセンティブなしでは誰も動かない時代。いろんな活動している方がこの認証というプラットフォームに乗りたいなと思わせることが必要では」と投げかけた。
パネル討論に先立ち、鳥取大学地域学部の大元鈴子准教授がローカル認証の仕組みについて講演し、「認証はプラットフォームの役割もある」と提示。認証に必要な要素として▽地域性の発揮▽対象地域と管理者▽根拠とその保証▽つくるところと住むところのオーバーラップ—の4点を挙げた。