高さ制限の緩和策を盛り込んでいる石垣市の景観計画・都市計画景観地区の変更案をめぐり、川平景観地区の変更案に反対している川平公民館(高嶺繕伸館長)は17日、手続きの中断を求める行政処分差し止め請求訴訟を那覇地裁に起こす。高嶺館長は「見直しありきのスケジュールが明らかになったので、手続きを中断して議論を深めるため訴訟を決意した」と話しており、司法の判断が注目される。市都市建設課によると、21日の景観形成審議会、24日の都市計画審議会、県知事協議を経て6月中の告示(決定)を予定する。
訴訟の原告は高嶺館長ら住民12人。これまで景観地区の基準に基づき景観を保全してきた経緯を踏まえ、高さ制限などが緩和されると、これまで享受してきた権利が侵害されると主張するとみられる。
訴訟に際し、公民館は▽このまま6月に見直し案が決定されると川平の景観は永遠に損なわれ、末代まで禍根を残す▽見直し反対を求める意見を無視して行政手続きが強行されており、適切か否かの議論の機会がない▽特定の開発事案や有力な政治家の口利きがあるのか不審を抱かざるを得ない▽見直しは性急で、根拠が不明瞭かつ不透明—などと指摘している。
今回の変更について市は、新石垣空港開港後の観光客の増加という社会情勢の変化を背景にした「国際観光都市の確立」、東日本大震災を教訓とした「防災」を理由に挙げているが、公民館は▽宿泊施設の需要と供給のバランスをどのように想定しているか説明がない▽海岸線の優先開発で観光客を危険に巻き込み不安を助長するのではないか▽観光客は10分以内で集落中央のロータリー付近(海抜20㍍)に避難でき、海岸に逆走する防災ビルは考えられない—などと疑問を呈している。
高嶺館長は「景観保全を要求する市民や地元川平の声をなぜ無視し続けるのか。謎だらけの見直しは景観法の目的に照らして疑義があり、違法性を司法の場で解明したい」としている。