児童虐待。このテーマを書くたびに気が重たくなる。だが、それでも書かなければならない▼中央児童相談所八重山分室が2017年度に対応した児童虐待相談件数が、前年度を9件上回る39件となり、07年の分室設置以降、過去最多だったことが分かった(本紙12日付10面)▼相談内容で最も多かったのが、親が子どもたちの目の前で配偶者や親族らに暴力を振るう「面前DV」を含む心理的虐待。次いで育児放棄のネグレクト、身体的虐待の順で多かった▼世の中にはひとり親、経済的困窮、夫婦間の不和などさまざまな家庭生活があるが、どんな事情があるにせよ、児童虐待は許されるものではないはずだ。子どものころに負った深い傷は、大人になっても暗い闇となって心を支配することだってある▼何かしらどうにもならないイライラから虐待に走る。いま、その現実に直面しているなら怒りを絶つために「6秒」数えてほしい。何といっても子どもの暗い表情を見るのは悲しい。子どもには、成長と共に光り輝く笑顔が似合うのではないだろうか▼「お前たちをどんなに深く愛したものがいるか、或いはいたかという事実は、永久にお前たちに必要なものだと私は思うのだ」(有島武郎「小さき者へ」)。親が子を思う情愛は、いつの時代も生きていると信じたい。(鬚川修)
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