西表石垣国立公園が、国際ダークスカイ協会(IDA、米国アリゾナ州)から国内初の星空保護区(ダークスカイプレイス)に認定されて2日で1カ月が経過した。石垣市内や竹富町内では、宿泊業者や観光事業者が保護区を生かした星空ツアーなどの観光商品を積極的に創出する一方、来島する観光客には保護区の知名度が低く、行政や観光団体への問い合わせはないという。観光業界は「県外での誘客プロモーションでも(保護区を)知らない人が多く、周知不足が浮き彫りになっている。ブランド力を生かす機会だが、情報発信が弱い」と表情を曇らせる。
星空保護区に認定されて以降、市内と町内の宿泊施設や、星空ガイド認定者が運営する事業所は、観光客の取り込みを狙って”認定”のブランドを前面に星空商品を相次いで打ち出したが、集客は予想より低いのが現状だ。
約2時間の星空観測をメーンにツアー商品を扱う市内ホテルの担当者は「星空ツアーは2年前から始めたが、集客は保護区認定前と後で変化はない。保護区認定を知らない客がほとんどで、認知度は低い」と話し、西表島のホテル担当者は「島内の体験型観光に星空を組み込む観光客は増えたが、保護区を目当てに来島する客は少ない」と話す。
行政や市観光交流協会、八重山ビジターズビューロー(YVB)などによると、保護区認定後の1カ月間で星空ツアーや星空保護区に関する問い合わせはゼロに近い状態だという。
国内各地で誘客プロモーションを展開するYVBは、星空ブランドを生かした誘客に「周知不足の解消が大前提」(担当者)と指摘する。
市内の星空ツアーを通して星空環境の保全を呼びかけている30代女性は「認定で星空商売が加速し、本来の保全や光害への認識が薄い。行政や観光団体は保護区の正しい知識と星空の魅力を伝えてほしい」と要望する。
市担当者は「周知不足は否めないが、事業者が独自に保護区をPRすることは必要。星空ブランドを波及させる取り組みを検討したい」と話している。