県内で猛威を振るっているはしか(麻疹)の予防手段とされるMR(麻疹・風疹混合)ワクチン、はしか単体ワクチンの接種人数が、市内7医療機関で4月1日から26日までに暫定値470人(自己負担151人、無料接種320人)と、増加している。医薬品卸売業関係者は、ワクチンは現段階では在庫が確保されているものの、今後、本土で感染が広がった場合は、「県内での確保が厳しくなるのでは」とみている。
八重山保健所は、無料接種対象者や患者全体の約7割を占める20~40代にもワクチン接種を強く呼び掛けている。
市の助成でワクチンを無料接種できるのは、定期接種の第1期(1~2歳)・2期(小学校入学前の1年間)、生後6カ月~1歳未満、第1期でワクチンを接種していない2歳以上の未就学児。それ以外は自己負担となる。
市内では4月以降、成人者からの問い合わせや実費でのワクチン接種が増える一方、医療機関にワクチンを卸している医薬品卸売業の関係者は「県内の他市町村と比べ、ワクチンを打つ人は少ない気がする」と指摘する。
はしかは、沖縄旅行中の10代男性=名古屋市=が感染後、愛知県でも感染が拡大。感染を警戒して本土でもワクチンの接種が増えている。
同関係者は「現段階でワクチンの在庫が確保できている」とし、「本土でMRワクチンの需要が高まった場合、県内での確保が厳しくなるのでは」と不安視。はしか単体のワクチンは全国的に数が少ないが、MRワクチンは確保しやすい状況にあり、今後は全国的なワクチンの流通に注視する必要があるという。
八重山保健所は、はしか患者に接触した場合、72時間以内にワクチンの接種をすることで100%ではないが「発症を抑える効果もある」としている。
乳児がはしかにかかった場合、ウイルスによってまれに発症するSSPE(亜急性硬化性全脳炎)を懸念。脳炎が数年かけゆっくりと進行し読み書きや歩行困難、寝たきりになることもあるという。治療法は確立されていない。保健所の担当者は、はしかのワクチン接種歴を母子手帳で確認し、1回接種者、未接種者、1978年以前の出生者にもワクチン接種を積極的に勧めている。
感染力の強いはしかは、人から人へ空気感染し、県内で3月下旬から流行、県は26日までに74人のはしか患者を確認。25日には宮古島市で30代男性の患者も確認された。
GW期間中、外来接種を実施する医療機関はそれぞれ異なるが、ほとんどで5月1、2日に予約制でワクチン接種の対応を行う。