県内で感染が拡大している麻疹(はしか)のまん延を防ごうと、石垣市は7日、特例措置として任意の麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の集団予防接種を、市健康福祉センターで実施、76人が接種した。同センターでのMRワクチン集団予防接種は2014年以来。県によると沖縄本島では6日、新たに5人のはしか感染を確認、県内の患者数は計31人となった。
特別措置の予防接種は、母親からの抗体が弱まる生後6カ月から1歳未満の乳児(第0期)が対象。MRワクチンは1回約1万円で、はしか単独だと約5000円かかるが、市と県が費用を折半した。1~2歳未満(第1期)、小学校就学前の1年間(第2期)の対象者も、定期予防接種として医療機関で無料でワクチン接種ができる。
この日の集団予防接種で市はワクチンを300本取り寄せ、八重山地区医師会、県立八重山病院・同院看護師OB、市母子保健推進員ら約30人の協力を得て午前と午後の2回行った。
同センターによると、市内の第0期の乳児290人のうち88人が来所、12人が発熱や体調不良などを理由に接種を見合わせた。
生後7カ月の息子と訪れた女性(26)は「石垣市でも発症した人がいるので受けにきた。私も受けようかどうか考えている。今は、なるべく人混みを避けて行動するようにしている」と話した。
10カ月の娘を連れてきた女性(30)は「感染が怖くて受けにきた。台湾の観光客から感染が広まったと聞いているので、石垣島もクルーズ船などの水際対策をきちんとしてほしい」と不安そうに話した。
■拡大懸念「接種を」—接種者少なく市呼びかけ
今回のMRワクチンの集団予防接種(任意)で、対象者(第0期)290人のうち接種者が76人と低かったことを受け、石垣市健康福祉センターの具志堅智所長は「石垣市での拡大も十分に考えられるので、危機感を持って予防接種を受けてほしい。第0期については、現段階で6月までなら市内の医療機関で予約をして予防接種を受けられるので問い合わせてほしい」と呼び掛けた。
はしかは、乳幼児がかかると重症化して死亡するケースもあり、対策が急がれている。
2016年度の沖縄県の麻疹・風疹混合ワクチンの接種率は、1歳~2歳未満の第1期95・2%小学校就学前の第2期89・8%で、どちらも全国ワースト。八重山保健所管内では石垣市(第1期94・1%、第2期88・5%)、竹富町(同85・7%、同86・5%)と県平均を下回っている。与那国町は対象者全員が予防接種を受けている。
接種率は95%以上ないと、感染予防効果が得られないとされている。