県八重山保健所が2017年度に3市町の20~64歳の成人250人を対象に歯科調査を行い、どのような支援が必要か分類した結果、歯磨き方法などの実践が身についておらず指導を必要とする「実践指導型」が8割を超えたことが分かった。こうした状況が歯周トラブルを誘発し、糖尿病など健康リスクを招くおそれがあるとして、健康推進班は▽かかりつけ歯科医による定期歯科受診の推進▽歯科相談の強化—の必要性を訴えている。
17年度成人歯科相談モデル事業(2014~18年度)の一環で、同班が1市2町の特定健診会場で実施。20項目の回答から口腔(こうこう)内の問題を三つの支援別タイプに分類(類型化)して支援方法などを決める「生活歯援プログラム」を活用した。
実践指導型に対しては、定期的に歯磨き指導を受けることで歯間清掃用具を効果的に使用できる人が増えると予想。30代、40代については、自覚症状(かめない、出血、腫脹、しみる)に一つでも該当する割合が60%を超えていることから、実践指導を通して50代になったときに重度歯周病が減少すると分析している。
次いで、仕事が忙しく職場環境的に歯科受診が難しく、支援的環境が不足している「環境受け皿支援型」が6割と多かった。歯や口の困りごとを抱えている「相談カウンセリング型」は約4割だった。
同班では、80歳になっても20本以上自分の歯を保つ「8020達成者」の増加が生活の質(QOL)の向上につながるとして、住民への働きかけを強化する方針。各事業所が率先して受診機会を設けることで「定期化につながる」としている。
一方、2町での歯科医院は与那国町1、竹富町の西表島東部・西部と波照間島に各1。歯科保健に関する施設が十分ではないことから、特定健診会場で歯科衛生士による歯科相談の実施を呼び掛けている。
西里八重子主任技師は「なぜ歯を残すことが大切なのか、そのメリットを地域住民に周知させたい」と話し、地区歯科医師会や歯科衛生士会と連携してセルフケア、プロフェッショナルケアの効果と重要性を発信していく、としている。