石垣市の景観計画と景観地区の見直し原案をめぐり、川平集落北側で計画されている米国ホテル大手のマリオット・インターナショナルが直営する高級リゾートホテルの建設を担う石垣島産業開発㈱(武田嘉明最高経営責任者会長)は、高さ制限が緩和された場合、施設に防災機能を持たせるため現行計画の2階建てから7~8階に引き上げ、27~30㍍に高層化させる考えを明らかにした。5日午前、市内の事務所で報道陣に対応した。同社は計画に対する市の動向を見守り、8月にマリオット本部が計画の最終決定を下す構えだ。
石垣島産業開発によると、建設予定の「マリオットリゾート&スパイシガキジマ(仮称)」は敷地面積約8万6925平方㍍に、延べ床面積4万5000平方㍍前後の施設で、アジア最大級のプールと県内最大規模の客室数380室を備えたフルサービスホテル。
当初計画で開業は2020年12月を予定していたが、市の景観計画に沿って対応するため1年遅れの21年12月に先延ばした。事業遅れで総工費は約250億円から約300億円に膨れて上がっている。
同社の武田会長は景観計画が緩和された場合、ホテルを川平地域や宿泊用の津波避難ビル施設にする計画を示し、高層化した施設最上部に急患用のヘリポートを整備するほか、災害時の備蓄用食料も完備する方針。客室数は変わらず、娯楽施設などの付帯施設を拡充させる方針。
ホテルは昨年9月29日に造成工事を着工。現在は磁気探査、伐採工事を終えて6月末までに全ての工事を完了する。ホテル本体の設計業務は景観計画の見直しが決まっていないため着手していない。
同社は3日夜、市が川平地域で開いた計画見直し原案の住民説明会に出席。市側の考えや住民意見を踏まえ、「地域や行政の意見、マリオット本部の意向を総合させて最終設計に入りたい。行政と地域間で計画の調整がなされていない。われわれも地域住民と膝を交えて話し合いたい」(武田会長)と話した。
今後の建設計画は市の景観計画を受けて進める考えだが、見直しの遅れで約5億円の損失がすでに見込まれているほか、緩和された場合には高層化に向けた再設計や土木工事関連などで約15億円の追加予算が必要になるという。
ホテル全体の計画を8月に結論を出す考えには▽見直しされない場合の現行2階建て施設(高さ10㍍以内)で着工▽景観計画の最終決定までの建設保留▽見直し時の高層化新設計で着手—の3案で決める。ホテルの撤退は考えていない。
武田会長は「地域住民はホテル建設に反対する意見もあるが、賛成する声もある。住民と争うつもりはなく、石垣島のために進めたい」と理解を求めた。