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新年度は将来の分岐点

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 ■新庁舎はどうなる

 新年度が始まった。本年度は石垣市の将来の分岐点となる自衛隊配備計画や新庁舎建設など重要問題が山積している。

 去る3月の市議会では野党の賛成多数で新庁舎建設費が削除された。これにより、計画の遅れが懸念されており、中山市長は9日に臨時議会を招集し、補正予算を提案する予定だ。当局側の説明に対し、野党側がどう対応するか注目される。

 ところで、3月市議会では、崎枝純夫氏が取り上げた中山市長の住民税納付の有無をめぐり、「私が間違っていたら土下座する」「丸坊主の準備はできているか」「ばかたれが」などと議場でけんか口論のような不穏当な発言が飛び交った。

 これは、『地方自治法』の「議会の規律」に照らしても、市議会の品位を汚し、市長と議員の品格が問われる。

 市議会は新庁舎でも現在と同じ3階に配置される予定だ。なぜ市議会を3階にする必要があるのか。スタジオのような施設のなかで、傍聴券を持ってしか市民が入場できないような、議会の古い概念は捨て去るべきだ。

 当初の案にあったように、1階に市議会を配置し、ガラス張りにして市民の誰もが参加でき目視できるようにすべきだ。発想の転換を望みたい。

 ■支払い決裁の責任

 福祉施設避難所兼交流整備事業では、実施設計業務が完了していないのに1159万円(うち一括交付金927万円)を支払った問題で、答弁に立った中山市長は、支払い決裁の責任者は市長にあるとし、業務が適正な手順を踏んでいれば決裁を出す、と述べた。不正受給と知りながら起案は担当者、課長、部長、副市長と上がったのなら重大な問題。責任は免れない。

 会計検査院から補助金返還を求められ、市民にその責任が転嫁されるような事態があってはならない。

 防衛省が計画している石垣島への陸自配備計画の136億円予算も、いよいよ具体的に動きだす。

 中山市長は「ミサイル基地」について「他国の領土を直接攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)のようなものを配備する基地がミサイル基地」と定義、「多くの市民はミサイル基地とは思っていない」と述べた。

 ■ミサイルとPAC3

 平得大俣に配備計画されている部隊は、各種事態で初動態勢をとる「警備部隊」、有事に対応する「地対艦誘導弾部隊」と「地対空誘導弾部隊」である。地対艦誘導弾(Surface-to-ship missile)略称SSMや地対空誘導弾(surface-to-air missile)略称SAMを配備する。Mは英語の頭文字をとったものでミサイルの略号である。

 平得大俣に配備されるのは、このようなミサイルだ。防衛省は石垣島にICBMのようなミサイルを配備するなどとはいっていない。ミサイル基地に対する中山市長の定義は「ことば」詐術で論点をすり替えている。

 防衛省は3月16日、パトリオットPAC3の展開先候補地として①石垣市八島埋め立て地(南ぬ浜町)②石垣市中央運動公園③旧石垣空港④八重山家畜保健衛生所周辺⑤サッカーパークあかんま—の5カ所を挙げ。市に説明した。

 軍事評論家の間では、PAC3で攻撃ミサイルを撃ち落とすことは不可能というのが通説。北朝鮮から発射されたミサイルは石垣島上空を7分で飛行している。ミサイルの破片が落下してきてもPAC3で撃墜できるかどうか保障はない。

 配備は、北朝鮮や中国の脅威をあおり、憲法改正をたくらむものではないかという疑念を抱かざるを得ない。実弾の入った銃器を携帯して警備に当たっていたことは記憶に新しい。

 全ての候補地が生活と密接しており、配備には危険が伴うことを念頭に置き、考えるべきだ。


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