3月定例石垣市議会(知念辰憲議長)は29日、最終本会議を開き、新庁舎建設事業費39億852万円を2018年度一般会計予算から削除する修正案を野党の賛成多数で可決した。野党側は現段階で総額77億円と多額に上っている建設費の見直しか設計のやり直しを求めている。中山義隆石垣市長は取材に対し、臨時議会を招集して再提案する意向を示したが、理解を得られる見通しは立っておらず、難しい対応を迫られる。一方、西海区水産研究所購入費5億1000万円は予備費に組み替える修正案が全会一致で可決された。
市長選後の議会勢力は、採決に加わらない議長を除き11対10の野党多数に変化。ただ、これまで中山市長への職務強要事件で逮捕・起訴された伊良皆高信氏が関係者への接触禁止で出席できなかっため、10対10の同数となっていたが、一部解除を受けこの日から出席、野党が過半数を確保した。
18年度一般会計予算案の採決では、友寄永三氏が「購入後の具体的な計画がなく、十分な説明もない」として、新庁舎建設費を残し水産研究所購入費のみを予備費に組み替える修正案を提出、全会一致で可決された。この後、新庁舎建設費を削除する修正案が11対10の野党多数で可決された。
これに先立つ、委員会報告で総務財政委員会(平良秀之委員長)は新庁舎建設費を賛成多数で削除した理由について「膨大な予算と維持管理を考慮すると、今後、多額の市民負担が生じる」と説明した。
討論で友寄氏は「新庁舎特別委員会に委員として参加してきたが、これを否決するような大きな問題はなかった。市民の意見を聴き、公民館を何カ所も回り、時間をかけて進めてきた。緊急防災減災事業債の活用で70%の補助(交付税措置)もある。1・5倍の耐震強度の建物は100年持つ。高いものではない。市民アンケートでもランドマーク的なものがほしいという意見が多くあった。これに応える立派な設計だ」と反対した。賛成討論はなかった。
中山市長は閉会のあいさつで「新庁舎建設事業費が削除されたことから今後の事業計画に大きな懸念が生じる」と述べた。
建設費の削除を受け、一般会計の総額は304億5600万円から265億4747円に減額された。