水産研究や水族館構想、高等教育機関誘致の基盤として整備するため、石垣市は、空き施設となっている西海区水産研究所石垣庁舎(桴海大田)を購入する費用として5億1000万円を2018年度一般会計予算案に計上していたが、19日の市議会総務財政委員会(平良秀之委員長、8人)で、新庁舎建設費39億852万円とともに予備費に組み込む修正案が野党の賛成多数で可決された。市長選後の与野党勢力の変化が表れた格好。29日の最終本会議の採決が注目される。
同庁舎は農林水産省水産庁の所管で、敷地2万平方㍍に15棟(計3565平方㍍)を有している。市は現在、利活用について調査業務を委託しており、3月末までには報告を受ける。購入費用として国庫8割補助の沖縄離島活性化推進事業を活用する予定。
新庁舎建設費は、現段階の建設費76億円のうち18年度分の工事費を計上したもので、緊急防災・減災事業債の上限42億円のうち本年度は24億8770万円を充てる予定。
修正案は長浜信夫氏が提出。研究所購入について「購入後の利活用計画が不透明。まず計画を明確にすることが求められている。購入後の維持管理にも疑問だ」と理由を説明。与党側は「民間に買われる可能性もある。このタイミングが良い」などと反対した。
新庁舎建設費に長浜氏は「莫大(ばくだい)な予算が投じられ、維持管理も考慮すると市民の負担増になる」と懸念。野党側も「人口も延べ床面積もほぼ同じ豊見城市が着工しているが、建設費は50億円余り。事業債で42億円使えるので、(庁舎建設基金を使えれば)その範囲内で建設できる」(今村重治氏)と同調した。
これに対し、与党側は「耐震強度1・5倍、建物は100年持つので高くない」(友寄永三氏)、「時間をかけ市民のニーズ、時代に合ったものにしようと計画を進めてきた。市長選でも争点の一つになり、一定の結果が出たと思う。市民の声を受けて進めるのが議会の役目だ」と反論した。
採決では長浜信夫、石垣涼子、花谷史郎、今村重治の4氏が修正案に賛成。友寄永三、長山家康の2氏が反対した。石垣亨氏は退席していた。