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ヤマネコの交通事故が倍増 保護増殖検討会

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多発する交通事故防止に向けて議論を交わした17年度イリオモテヤマネコ保護増殖検討会=18日午後、竹富町離島振興総合センター

 【西表】国の特別天然記念物で、絶滅危惧種ⅠAに分類されているイリオモテヤマネコの交通事故件数が統計開始以降、80件に上り、2010年代は年平均4・57件発生と増加の一途をたどっている。18日午後、竹富町離島振興総合センターで開かれた17年度イリオモテヤマネコ保護増殖検討会(座長・土肥昭夫元長崎大学環境科学部教授)で報告された。16年以降は西表島西部地区での事故が多発し、同年6月から7件連続で発生。検討会では、交通事故対策に向けた目撃情報の整理や啓発強化に議論が集中した。

 西表野生生物保護センターは、県道215号が全線開通した翌年の1978(昭和53)年に統計を開始。80件の交通事故で、76頭が死んでいる。

 同センターによると、過去41年間での年平均事故件数は1・95件。80年代から2000年代までの年平均件数が横ばいで推移するなか、10年代は4・57件と突出している。

 本年度は昨年7月16日に祖納、同月28日に上原で事故が続き、9月22日は干立地区、ことし1月23日には上原で日中に発生。うち、3頭が死んだ。いずれもオスのヤマネコだった。

 ここ10年間の新たな傾向として、妊娠中のメスや幼獣の事故死が増加傾向にあったため、事故続発による絶滅の恐れが指摘されてきた。ヤマネコの推定個体数は約100頭とされる。

 同検討会では、担当者が交通事故発生状況と対策、ヤマネコの目撃情報について説明。

 委員を務める琉球大学理学部の伊澤雅子教授は「目撃情報は非常に重要。交通事故防止についても記録があると、いろいろ対策につながる」として、情報提供者への働きかけを重要視。同部博士研究員の中西希氏は「目撃件数も大事だが、日数や時間帯などの解析も。同一個体の目撃の連続期間と死亡個体を確認すると、行動パターンが見えてくる可能性があり、対応策も変わってくる」と提案した。

 また、17年生まれと思われる幼獣や親子連れの目撃が過去最多の11地区で確認された報告を受け、オブザーバーの西表大原ヤマネコ研究所の岡村麻生氏から「大きさの判断は目撃者により変わるので、親子連れの目撃を利用した方が良い。幼獣のみの目撃情報を盛り込むのはデータとして危険」との指摘も飛んだ。

 西表野生生物保護センターは、けやがや死んでいるネコ、子ネコを目撃した際に緊急ダイヤル(0980—85—5581)への連絡を呼び掛けている。


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