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陸自配備、民意は出たのか

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 ■民主選挙は行われたか

 石垣市長・市議補選に当選した中山義隆氏(市長)、花谷史郎、米盛初恵氏(市議)に13日、市選管から当選証書が手渡された。これから4年間の石垣市のかじ取りと、それを監視する議員としての責務をしっかり確認してほしい。

 選挙を振り返ると異様としか言いようがない。森友学園問題で混乱する国会を尻目に自民党二階幹事長が来島、保守総動員の国政並みの選挙で、市民が悲鳴を上げるほどの締め付けであった。

 『公職選挙法』第一条は日本国憲法の精神にのっとり衆参、地方公共団体議会や長を公選する制度を確立し、「その選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期することを目的とする」とうたつている。

 石垣市長・市議補欠選挙運動は『公職選挙法』とは真逆ではなかったか。期日前投票会場には組織から指示された人たちが列をなし、異様な光景だった。

 政治は政策で行うのが基本だ。しかし、選挙となれば、政策などお構いなしに、組織や団体で立場の弱い人や、地縁、血縁のしがらみを利用し選挙人(有権者)に市議や地域の有力者たちがなりふり構わず集票活動に走る姿は、公職選挙法の「民主政治の健全なる発達」など望むべくもない。猛省すべきだ。

 選挙戦で争点と思われた自衛隊配備計画については議論なしで終わったといえる。

 ■問われる国の専権事項と地方自治

 当選した中山氏は選挙中、「防衛・外交は国の専権事項」として配備計画には理解を示すが、自らの最終判断を明確にしなかった。計画は国が進めているものだが、市民の生命財産を守る市長として今後、どのように市政を進めるのか対応が問われてくる。

 防衛省は30年度予算に施設整備関連諸経費として136億円を閣議決定した。その内訳は駐屯地整備関連(平得大俣地区)用地取得、設計費、調査費、敷地整備費に123億円、宿舎整備関連13億円である。

 これも、中山市長が2016年12月防衛省を訪ね「配備に向けた諸手続きを開始することを了承する」と事実上の受け入れを表明したためである。

 ■市長も反対派も正念場

 中山市長は13日の3月定例市議会で行った施政方針演説で、同問題について「市議会や地域住民の声や要望をしっかり聞き、防衛省とも十分に協議を行い、情報をオープンにし、市民の皆さまと論議を深め、しかるべき時期に判断する」と従来の方針を示した。

 しかし、当選のインタビューで「話し合い拒否という状況なら、意見を聞けないなかで判断をしなければならないという状況になる可能性もある」とも述べている。これは責任転嫁と威嚇とさえ受け取れる。

 国の専権事項と言いながら、いまさら防衛省となにを協議するのか。防衛省の136億円予算には中山氏の支持母体である経済団体から熱い視線が注がれている。

 また、防衛省も予算を組んだ以上、配備計画実施に向けて本格的に動きだす。それを見越してか、中山氏は当選後の記者会見で、自衛隊賛成という砂川氏の票を足すと1万9000票近くなる、その意味では一定の民意は出ているかと思う、と述べている。

 砂川氏の票を即中山票に足すことができるかは疑問だ。14日、市長発言を受け平得大俣周辺4地区公民館が緊急集会を開き発言に抗議した。当然だろう。

 基地候補地からは反対する花谷史郎氏が市議に当選した。

 中山市長も反対派もいよいよ正念場を迎える。


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