竹富町が6月定例議会の上程を目指す「竹富町観光案内人条例(仮称)」の骨子案が、15日までに分かった。町域で観光ガイド事業を展開するガイド個々人の届け出と登録を義務付け、違反業者の通報・監視体制を確立することが柱。町が認定した事業者の安全安心な観光案内の提供を通して、希少性の高い自然資源の適正利用とオーバーユース防止につなげたい考えだ。
町は当初、観光ガイド事業者数を把握する仕組みづくりとして、届け出制度を定める同条例の制定作業を進めていた。専門家や地元事業者らの意見を反映させ、より厳格な「許認可制度」「罰則規定」を盛り込む方針に転換した。
骨子案では、エコツーリズム(自然生態系保全)やオーバーユース防止を目的に、町内各離島で活動する新規・既存業者に研修を前提とした個人免許制を導入し、法人登録は認めない。
免許登録業者の数には上限を設け、免許営業者には数年に1度の更新義務を課し、講習や試験を実施するとした。
違反業者の摘発に向けた通報・監視体制は、昨年4月の「竹富町自然環境保護条例」改正に伴って、新年度にも各島に配置される野生動植物保護推進員との連携を図る。
このほか、▽免許営業者間での総量規制に向けた協定締結▽顧客人数などの帳簿作成義務▽年間収益に応じた負担金徴収▽外部の第三者委員会設置—の協議も進められ、違反業者への厳罰も検討している。
こうした基本方針を推進するため、町は沖縄県自然保護課との共同事務局を設置。3カ年計画の「適正利用とエコツーリズム推進体制構築事業」で、世界自然遺産登録を控える西表島の観光エリアに応じた「西表島エコツーリズムガイドライン」の作成を進めている。
町は今後、検討会や地元事業者で組織するワーキンググループで「観光案内人」の対象業種・業態などを確定。同ガイドラインを基に条例案をまとめる。
町政策推進課は6月定例議会での上程をめどに、最低でも2019(平成31)年度での条例適用を目指しており、ことし5月には同ガイドラインと条例案を土台とした規則の策定・告示で町の姿勢を示したい考え。
同課の通事太一郎課長は「ガイドラインが各エリアごとの利用ルールだとすれば、同条例は属人的。しっかりルールを守って観光ガイド事業を行う事業者らを守ることにもつながる」と話した。