【那覇】10月に開院を予定する新県立八重山病院内の敷地で営業する敷地内薬局設置を新県立八重山病院設立準備室が検討していることが26日までに分かった。新県立八重山病院で設置されれば県内初となる。県の伊江朝次病院事業局長は、同日の県議会の答弁で「新病院南側に県外からの調剤薬局ができるという話もあるが、患者の利便性を考えると敷地内薬局を検討せざるを得ない」との考えを示した。
2016年に厚生労働省が病院敷地内での薬局の営業を禁止する「医薬分業」規制を緩和し、敷地内への建設が公道から直接入れるなどの条件付きで認められるようになった。
現在の八重山病院には民間の門前薬局数件が近くにあるが、旧石垣空港跡地で建設が進む新県立八重山病院の周辺は、国有地や県有地が大半を占め、民間薬局の建設が難しく、新県立八重山病院設立準備室の担当者は「新病院周辺では、数百㍍離れないと民間の薬局が建てられない」と指摘。「高齢者や体の不自由な人の利便性を考え敷地内への薬局開設を検討中だ」と話した。
現在は、設置の基準となる法令に合致するかや厚労省の認可が下りるかなど情報収集をしている段階で、これらの課題がクリアでき、設置のめどがついた時点で入居薬局の公募を掛けたいとしている。
同準備室によると県内では、新県立八重山病院が初めてのケースだといい「敷地内設置の前例がなく情報集めなどに苦労している」と話した。
厚生労働省は、医療機関と薬局が一体とならないよう病院と薬局の間をフェンスで仕切るなどして、いったん公道に出なければならないといった規制を2016年に緩和。薬局の経営の独立性確保を前提に、病院敷地内への設置を認めている。