鉛筆1ダース入りぐらいの紙箱。中には、鉛筆より少し太いくらいの金属の管とブラシが1本ずつ▼有機野菜などを取り扱う健康志向のスーパーで見かけた台湾製のマイ・ストロー。細長いブラシで管の中を洗い、何度でも使えるようになっている▼ドリンクスタンドがあちこちにある台湾。注文して受け取ったら、使い捨てのストローをぱっと刺して飲むのが当たり前だ。マイ・ストローはこのライフスタイルに着眼して生まれた▼台湾では公共施設でも道路でも至るところにごみ箱があり、どこでも捨てられるというシステムが生活の中に定着している。チリ箱がそう多くはない八重山とは対照的だ▼その一方で、台湾では使い捨てを見直す動きが一種の流行になっている。「使い捨てはやめましょう」と、異を唱えるばかりでない。これまでにないアイテムを生み出すことによってごみの減らし方を示してみせる手法もある。マイ・ストローはその具体例だ▼お値段のほうは3000円とか1500円とかといった具合に、なかなか張っている。しかし、人を引き付ける意外な発想ではないか。磨かれた管も、つやつや。レジに持ってこそいかなかったが、手に取ったり、商品棚に戻したりを繰り返しはした。買ってしまいそうになる誘惑をはらむ味な作戦だ。(松田良孝)
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