石垣市の狂犬病予防接種事業にかかる公金の入出金が長年にわたり、環境課長の個人名義の口座で行われていたことが20日、分かった。公金の収入や支出はすべて歳入歳出予算に編入しなければならないという地方自治法上の原則に違反する行為で、監査委員を務める石垣亨氏が20日、市議会一般質問で明らかにした。
この口座は昨年7月に解約され雑収入という形で歳入処理されているが、起案決裁の手続きをとらずに解約され、通帳も断裁して破棄されていたことも判明した。
課長名義の個人口座で扱っていたのは、狂犬病予防接種の集合注射・登録の料金。動物病院の医師と環境課職員が市内各地を巡回して実施し、徴収した現金を同口座に入金して扱ってきた。
慶田盛伸環境課長はこの日の答弁で「予防接種事業は平成12年(2000年)に保健所から市に移管されており、そのころから行われてきたと考えられる」と説明した。
口座開設の時期や経緯に関する記録は残っていないが、過去の担当課長によると、集団接種・登録が休日などに行われることから、現金を管理する方法として銀行に保管するほうが安全だと判断したのではないかという。
通帳が残っていないため、当局は金融機関に過去の取引記録を照会して預金取引明細表を確認。その結果、不審な金の動きはなく、正確に取り扱われていたという。
崎山用育市民保健部長は「極めて不適切。管理監督者としての責任を重く受け止め、今後このような不適切事案がないよう厳しく自らを戒めていきたい。深くおわびしたい」と陳謝。慶田盛課長も「解約については私が指示した。通帳は断裁して破棄したが、破棄していいか決裁をとるべきだった」と答弁した。
石垣氏は「年度途中なのに決算も経ないまま処理している。予算も決算も無視か。証拠隠滅ではないか。やましいことがあったのではないか。懲罰委員会を検討してください」と批判、漢那政弘副市長は「その前にしっかり調査したい」と述べた。