大規模災害や山林原野火災に消防用水を確保するための協定を、石垣市消防本部(宇根規光消防長)と石垣島コンクリート協同組合(米盛博和理事長、加盟6社)が25日、締結した。市町村消防と生コン組合の協定は県内初。今後、消火活動に大量の用水を要する際に各事業者のコンクリートミキサー車(4㌧)50台が給水することになり、迅速な対応につながるものと期待されている。
消防本部によると、市内では過去に、ごみ集積場で火災が発生した際、用水確保のため消防ポンプ車が火災現場から離れた防火水槽まで往復を余儀なくされたことがある。2016年12月には、新潟県糸魚川市で大規模火災が発生、消火活動が難航した経緯もあり、これらの教訓を生かして協定を結んだ。
今後、地震で消火栓が故障したり、防火水槽が近隣にない山林原野などで大規模火災が発生したりした場合、同組合が貯蔵する工業用水をミキサー車で運搬し、現場近くに設置される仮設防火水槽に給水する。
同本部で同日午前、協定締結式が行われ、米盛理事長は「火災はいつ発生するか分からない。今回の締結を安全の一助とし、消防と連携して迅速に動けるようにしたい」と決意を述べた。
宇根消防長は「石垣市は、火災や災害発生の初動時に、近隣市町村の応援が得られない状況にある。独自の防災体制強化が課題だった。今回の締結は市の防災力向上に大きく寄与する」と協力体制の強化を喜んだ。