石垣市は12月から家庭ごみ収集車のスピーカーを活用し、市行政情報の広報を図る「チリツモ広報システム」の実証実験を開始する。同システム導入により、従来、展開している公用車での街頭宣伝の運行費や人件費などのコストを抑えるとともに、広報事業の合理化につなげたい考えだ。同実験は来年3月31日まで実施され、効果測定後に2018年度内の導入を検討する。塵芥車とIT技術を組み合わせた行政の音声広報は国内初。
チリツモ広報システムは、家庭ごみ収集車に接続したスマートフォン内の専用アプリを使い、事前に録音・編集した広報音源を自動的に再生するもの。
スマホのGPS機能とも連動しており、各公民館や学校のイベント情報など特定の音源を限定した地域で放送可能となる。
市では現在、9課が定期的な街頭宣伝業務を実施。縦割り方式で各課ごとの広報が行われているが、同システムでは担当課にこだわらず情報の一括提供ができる。また、一日15台が運用され、全集落内を巡るなどの家庭ごみ収集車の特徴から、より効果的で効率的な周知に期待が寄せられている。
同システムはコンサルタントの合同会社MBC(前野尚史代表)=大川=が開発、㈱SHIMAN|CHU REPUBLIC(池淵功寛代表取締役)=新川=がアプリ制作を担い、ことし春に完成した。
システム名の「チリツモ」はことわざ「ちりも積もれば山となる」に由来。
13日午後、石垣市役所庁議室で、同実証実験の実施を目的とする「塵芥車による行政情報の広報宣伝に関する基本協定書」の締結式が行われ、石垣市と合同会社MBC、市清掃事業協同組合(前盛均理事長、5社)が調印した。
実験期間中は、各種イベントの告知や交通安全、災害情報、集団検診受診などの広報を予定している。
中山義隆市長は「これまで職員が公用車で行っていた広報業務を塵芥車で活用する新しい取り組み。効果については今後、市民の声や情報周知など効果検証する必要があるが、次年度以降もうまく活用できるようにアイデアを出して検討していきたい」と述べた。