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南ぬ島空港1周年の課題

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■目覚ましい効果

 昨年3月7日、郡民悲願の「南ぬ島石垣空港」が開港して1年が経過した。計画から37年、総事業費451億円、2000㍍の滑走路と計器着陸装置(ILS)を備えた日本最南端の国際空港は環境や用地問題など意見の対立と幾多の困難を乗り越え、難産の末開港にこぎ着けたが、開港は郡民の期待通り島の経済に目覚ましい効果を発揮している。

 本土大都市圏への直行便、中型機の就航、LCCの新規参入、国際プログラムチャーター便の開設などで国内線5社、国際線2社(季節運航)が就航し、1日の提供座席数は5000席を超えるほどになった。開港337日で乗降客200万人を突破、年間で216万人を目指す勢いで国内空港中15位に迫るほどに成長している。

 石垣空港は2006年の190万人をピークにリーマンショックや東日本大震災以降低迷し、11年にはピーク時の25%も減少した。国内の航空輸送も石垣空港と同一の傾向を示しており、羽田空港は07年をピークに低迷していたが、4本目となる滑走路の増設や国際線復活が奏功し、昨年は6873万人と6年ぶりに過去最多の乗降客数になったと発表した。

■八重山全体の魅力アップを

 開港以来33%も増加し、本年は105万人を目標に掲げる八重山観光だが、課題も見えてきた。好調な要因は八重山のポテンシャルが高いことと各方面から評価されているが、メディアに開港イベントが取り上げられていることに加え日中韓情勢の変化により韓国や中国方面への旅行から八重山諸島に振り替わっている側面もある。今は八重山に追い風が吹いているわけだが風向きはいつ変わるか予測がつかないのが観光産業の宿命ともいえる。

 景気や国際情勢の影響を受けにくい観光地に成長するためには、魅力の原点である西表石垣国立公園の「世界自然遺産登録」推進をはじめ、顧客満足度の高い観光地として受け入れ態勢の充実に取り組まなければならない。宿泊客が石垣島に集中している実態に鑑み、竹富町や与那国町へのシフトを図り、八重山全体として高級リゾートホテルや旅館、人情味あふれる民宿への滞在など多くの八重山らしいメニューを提供し、バランスのとれた独特の魅力を発信することが肝要だろう。

■観光インフラの早期整備

 観光インフラの整備は待ったなしだ。冬場に弱いオフシーズン対策として、ゴルフ場建設をはじめ、スポーツ、健康志向型観光の受け入れ強化、5000人規模の国際会議場を早期に建設し、MICE事業の国際展開、仮称「八重山伝統文化・芸能館」の設置を通して文化の体験交流を推進するなど、年間の平準化を図ることに官民は予算や人的資源を集中すべきである。

 国際線ターミナルビルの増築など一部に着手しているインフラ事業もあるが、多くは未着手のままである。6年後には那覇空港第2滑走路が供用開始となり、沖縄県は1000万人観光時代を迎え、八重山も150万人時代が見えてくる。持続的に発展できるよう課題を早急に総点検し、受け入れ態勢の強化に取り組むことが急務である。


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