先日、奄美市の知人に会ったが、昨年12月本土復帰60周年を迎えた島は今、県立大島高校のセンバツ初出場に沸き返っているという。21世紀枠での出場だが、八重山も8年前に離島から初めて夢実現しているだけに、花火が上がり、号外が配られた島の人々のその喜びたるや容易に想像がつく▼筆者と奄美との縁は浅くない。本紙が95年に中途半端な6㌻から8㌻に増ページし、本格的な新聞に移行したのは、奄美の新聞社を視察したのがきっかけだった▼96年には同じ琉球孤の離島として共通の課題も多いことから、「島に学ぶ」と題して地元紙と共同企画で、本紙は約9カ月間毎月記者を派遣、計50回のリポートを連載した▼その後も「やしの実大学」などで何度か訪問しているだけに、今回の快挙に拍手し、喜びを共にしている▼奄美大島は沖縄本島、新潟の佐渡に次ぐ3番目に大きい島。しかしその割に7万人余の少ない人口が示すように島の85%を山に覆われ、人々は海岸べりに暮らすキビが主産業の歴史的にも不遇な辺境の島だ▼その中での大島高校のセンバツ初出場は、西表との世界遺産登録を間近に控え、この大自然を大事にして育んできた観光産業に弾みをつけ、島の未来に勇気と希望を与えるものだ。沖縄県勢とともに奄美にもエールを送りたい。(上地義男)
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