■立場を変えて一騎打ち
2月23日に告示された八重山最大の政治イベント、石垣市長選挙はあす2日、投開票が行われ、夜遅く、石垣市の4年間のかじ取り役が決まる。
今市長選には、現職の中山義隆氏(46)=自民、公明推薦=と、返り咲きを狙う前職の大浜長照氏(66)が立候補。4年前と同じ顔ぶれながら立場を逆にし、保革一騎打ちの激しい選挙戦を展開。盛り上がりにかけた前哨戦と打って変わり、期日前投票も前回を大幅に上回る過熱ぶりをみせている。
中山氏は現職として1期4年の実績に加え、自転車で遊説に回るなど若さと行動力をアピール。一方、大浜氏は過去4期16年の実績と政治家としての安定力を強調し、地道な「どぶ板選挙」に徹した。
また、中山陣営が自民党の石破茂幹事長や、小泉進次郎氏(内閣府大臣政務官・復興大臣政務官)ら大物政治家を動員。国との太いパイプをアピールしたのに対し大浜陣営は特定の政党の推薦を受けない「市民党」と称して、勝手連的な支持の拡大を狙い、豊富な医療経験を基に、医療福祉の充実を訴えた。
■明確な争点なき選挙
今回の市長選を整理してみると、明確な争点はみあたらない。中山氏が「景気回復の流れを継続するか、元に戻すか」、大浜氏は「新石垣空港を生かしたまちづくり。医療福祉、経済」を争点に挙げる。有権者が中山市政4年間をどう評価し、昨年の新空港開港後、回復基調にある石垣市の経済発展を今後、だれに委ねるかだろう。
告示後、県紙2紙が報じた、石垣島への自衛隊警備部隊配置の候補地報道(小野寺五典防衛大臣は否定)で、自衛隊配備の賛否が争点の一つに急浮上。これが今市長選の当落を分ける鍵の一つとなる可能性もある。
有権者に約束するマニフェストは、中山氏が「日本一幸せあふれるまち石垣市」をスローガンに96項目、大浜氏が「すべての市民の笑顔かがやく石垣市」を目指し150項目を列挙。両氏とも、観光、経済振興や医療・福祉の充実、第1次産業の振興など内容は多岐にわたる。有権者にはその内容や実現性を見極め、悔いのない、正しい判断が求められる。
■有権者の正しい判断を
過去の市長選の投票率を見ると、4年前の前回が77・42%。過去最低を更新した2006年の65・88%から約12ポイント上昇した。今回、両陣営とも前回なみの77%台の投票率を見込み、1万6500票の獲得で当選をもくろむ。近年、市長選の投票率は低下傾向にある。過去にあった新石垣空港の建設位置など明確な対立軸がなくなり、若年者を中心に有権者の政治離れが進んだ結果だろう。ただ、市長選は4年に1度、市のリーダーを有権者が直接選ぶことができる選挙。与えられた権利は放棄せず、行使してほしい。
これまで中山氏と大浜氏の選挙戦はがっぷり四つ。だれが石垣市の顔として、南ぬ島石垣空港を基点とした石垣市の経済発展を担うリーダーにふさわしいのか。3万7000有権者の審判が2日下る。