石垣市消防本部(大工嘉広消防長)は、6月までに旧空港跡地にある旧第11管区海上保安本部石垣航空基地跡へ移転する準備を進めている。基地庁舎前には、ヘリポートが常設されることになっているため、離島の急患搬送時間短縮が期待される。さらに高台への移転で、津波などの災害に強い庁舎となりそうだ。
移転に伴い、基地庁舎の管理棟や格納庫など基地施設を購入して改修、職員棟と司令センター、消防車両車庫にする計画だ。事業費は約5000万円を見込んでいる。
市消防は2011年12月、市役所に隣接する施設から現施設に仮移転したが、消防車両の駐車スペースや訓練スペースが狭いなどの課題があった。旧航空基地庁舎に移転することで、船舶用の水上バイクやボート、消防車両28台などすべての機材を車庫に収容できるようになるという。
敷地は、基地庁舎を中心とした約1万平方㍍余。建物の購入と土地の借地に向け現在、所有者の国・県と調整している。
移転すると、次年度から供用開始が予定されている常設ヘリポートで離島からの急患搬送に即座に対応できるほか、2台同時の救急車出動も解消される。移転先は海抜26㍍の高台。建物も08年に耐震強化工事が実施されており、地震・津波被害を回避できるものと期待されている。
このほか、庁舎内に市民ニーズに合わせた救急救命講習などの各種講習にも利用できるよう研修室を設けるほか、市消防団の詰め所も完備する。
大工消防長は「用地の借地で国・県との調整が全て完了してはいないが、移転計画は進めている」と話している。
移転後は、市街地西方への対応が遅れることになることから、市は新川地区の団地集約化に伴う余剰地に「西出張所」(仮称)を計画している。
仮庁舎の近くの住民は「この付近は高齢者が多いので病気や火事の時は不安」「消防が近いので、病気の時にはすぐ来てくれるのがメリットだった」と話した。