■26地域で自主防災会結成
東日本大震災を機に、石垣市で「自分たちの地域は自分たちで守る」とする自主防災組織づくりが12年度から急ピッチで進んでいる。地域にとって非常に心強いことだ。市消防本部がテコ入れしているもので、昨年11月までに26の公民館や字会で組織化された。
市消防本部では17年度までに市内41のすべての公民館・自治会で組織化。字会は町内ごとに細分化して最終的に計65の自主防災会を立ち上げ、それぞれ一括交付金を活用して防災倉庫を設置し、各種防災資機材を貸与する。
すでに12年度に結成された16の防災会には倉庫を設置、機材も貸与して活動がスタートしている。
さらにこれらの防災会には昨年9月末、石垣市から災害時に支援を必要とする1人暮らしの高齢者や障がい者らの名簿も、個人情報管理の徹底を条件に提供された。15年度にはこれら高齢者らの「福祉避難所兼ふれあい交流施設」の建設も計画されており、地域で災害弱者を守る体制が整う。
あとはこの自主防災会に各地区住民がどう魂を吹き込み、災害時にいかに実効性を上げるかが課題だ。
どう実効性を高めるか
12年度に結成された防災会は大浜から白保、平野、富野までの東北部16地区。13年度が登野城、大川、石垣、新川の四カ字に平得、真栄里、磯辺、吉原、川平など10地区。
これらの防災会には自動体外式除細動器(AEDな)ど救急セット、担架やリヤカーなどの要援護者搬送用、消火ポンプなどの火災対応用、チェーンソーなどの救助用、仮設トイレや発電機などの避難所用などの各資機材が市消防本部から貸与され、これらの保管倉庫が設置される。
一方災害時要援護者名簿は、四カ字を中心に16公民館・字会に計627人のリストが提供され、今後も希望する公民館などに提供される。
同名簿は石垣市が民生委員の協力で地区ごとに実態調査し、作成した大変貴重なリストだ。それだけにこれを各地区の自主防災会がどう生かすかだ。
■訓練なしで弱者守れず
昨年10月、情報、消火、救出救助、避難誘導、給食給水、危険箇所監視など7班103人の班員で自主防災会を立ち上げた石垣字会は、4月に初の防災訓練を行うが、そのさい「誰が誰を支援するか班単位で決めて訓練しないと実際の災害時に機能しないだろう」(池城孝字会長)ときめ細かな訓練、サポート体制の必要性を強調する。
石垣市は東日本大震災を受けて12年1月、災害に強いまちづくりへの新たな地域防災計画を策定した。しかしどんな立派な計画でもそれを生かすのは人であり、日ごろからの訓練だ。
宮良は昨年11月、住民約100人が参加して初の自主防災訓練を行った。その中で避難・救助訓練のほか各自の役割や防災資機材の使用方法などを確認。心肺蘇生法などの指導を受けた。
各地区の自主防災会も、絶えずこうしたきめ細かで実践的な訓練を重ねないと、せっかく組織や資機材はあってもいざというときに障がい者など災害弱者は守れないし、自分たちの地域を自分たちで守ることはむつかしい。