沖縄に新たな米軍基地を建設するという重大な承認判断にもかかわらず、あまりにも明確性がなく、不透明さの残る証人喚問だった▼仲井真弘多知事は先週末、自らが判断した米軍普天間飛行場の辺野古埋め立て承認を検証する県議会の調査特別委員会(百条委)で「法律にのっとって適合と判断した」と承認の妥当性を主張した▼あくまでも行政実務上の判断であり、政治的な判断でないことを強調。従来の見解を繰り返したが、承認までに至る事務方との調整など核心部分に触れると「覚えていない」との証言に終始した▼疑問は、知事が重大な決定を下すまでの間の担当部局とのやりとりを記録した「調整メモ」類がないという点だ。あえて作らなかったのかほんとにないのか。疑念を持たざるを得ない▼一方、移設先の稲嶺進名護市長は、百条委の参考人招致で「県民は辺野古、県内移設を望んではいない。(承認を)取り消すべきが沖縄のためになる。知事の今回の承認は受け入れられない」と強調し、新基地建設反対を主張した▼貴重な自然は一度壊すと再現できない。普天間飛行場の県外移設の実現を強く主張していた仲井真知事が、一転して辺野古埋め立て承認を決断した背景には何があったのか。この真実が解明されないと沖縄の未来に禍根を残しかねない。(鬚川修)
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