各分野の研究者ら提言
沖縄に国立自然史博物館の設立を目指す第3回シンポジウム「沖縄に国立自然史博物館を!」(同実行委員会主催)が17日午後、石垣市民会館大ホールで開かれ、各分野の研究者らが講演やパネルディスカッションで八重山の生物多様性を強調、「ぜひ地元からも声を」と協力を求めた。これに合わせ、八重山3市町、民間団体などが機運を盛り上げようと小中高生の研究発表会、著名人のトークセッションを開催して「八重山が適地」とPRした。シンポでの講演やパネルディスカッションには研究者や地元関係者ら13人が出席してさまざまな角度から発言した。
島における国立自然史博物館の必要性について花城良廣氏(沖縄美ら島財団理事長)は「沖縄、八重山は中国、東南アジア、メラネシア・ミクロネシア、マレーシアの交差点。だからこの近くに自然史博物館が必要だ」と述べた。
イリオモテヤマネコを支える西表の生態系について紹介した伊澤雅子氏(琉球大学理学部教授)は「西表はネコ科の生息地としては世界最小の島。在来のネズミがいない小さな島に住み、いろんな動物を食べており、食性の幅の広さは世界一」と貴重性を強調。
島村賢正氏(アンパルの自然を守る会代表)も「イシガキニイニイやイリオモテヤマネコは非常に狭い空間にいる。こんな地域は他にない。八重山は地理的条件でも博物館の場所に最適」と訴えた。
八重山の海について菅浩伸氏(九州大学大学院教授)は、世界に誇る五つの特徴として▽黒潮がもたらす熱帯海洋生物▽透明度の良い海▽岸近くの多様なサンゴ礁環境と生態系▽浸食地形も含めた多様な海底景観▽沿岸域に隠されている未知の地形や生態系―を挙げた。
県の取り組みについて大浜浩志氏(県環境部長)は「沖縄での実現をバックアップしたい」と約束。岸本健雄氏(お茶の水女子大学客員教授)は「学術会議は実行する力はない。国を動かすのは地元の熱い声」と述べ、中山義隆市長は「市民、郡民も機運を盛り上げてもらいたい。今後も誘致の動きを続けたい」と語った。
実行委員会の西田睦氏(琉球大学副学長)は「場所についてネットワーク型が重要。その際、八重山が抜けることはあり得ない。自然遺産登録を目指しているヤンバルも奄美、西表も(誘致運動を)一緒にやっていくと強くなる。ぜひ八重山は先頭に立ってほしい」とエールを送った。