■県議に何を期待するか
来月5日投票の県議選は27日の告示を目前に各陣営の動きが日増しに活発化している。今回石垣市区は、4期務めた高嶺善伸氏の勇退で革新側から元市職員の次呂久成崇氏(42)=共産、社民、社大推薦=と前市議の前津究氏(44)=社大党八重山支部推薦=の新人2人が名乗りを上げ、自民公認の現職で2期目を目指す砂川利勝氏(52)と水面下で三つどもえの激戦となっている。
そこで県議選に当たって八重山の有権者は県議に何を期待し、何を望むかだ。福祉や教育、産業振興、子育て、介護など望むべき課題は無数にあるが、その中で最重点に取り組むべきは今日的課題の格差是正と基地負担軽減、そして八重山は離島振興策だろう。
所得格差が教育格差となり、貧困の連鎖となっている格差社会の是正は、安倍政権をはじめ各党が今夏の参院選公約に掲げるほど大きな問題になっているが、沖縄はさらに深刻だ。
それは低賃金の非正規雇用やひとり親世帯が多いからだ。特に非正規雇用は全国平均の3人に1人に対し沖縄は2人に1人という突出ぶりだ。
■県が正社員化を支援
それが沖縄は3人に1人は「子どもの貧困」に代表される貧困となって表れ、その貧困が非行、不登校、高校中退、低い高校・大学進学率、児童虐待など“負の連鎖”につながっている。
そのため沖縄労働局やハローワークは、目標人数を定めて非正規労働者の「正社員就職実現」キャンペーンを展開。県は2014年度から「正規雇用化促進モデル事業」を実施。非正規社員の正規雇用を検討している企業に中小企業診断士や社会保険労務士などを派遣し企業の正社員化を支援している。
その結果、15年度事業は24社参加で103人が正社員になったという。
さらに各政党は賃金格差を是正するため同一労働同一賃金、最低賃金を民進党は平均時給千円にするなどの参院選マニフェストなどを示している。
子どもの貧困対策は翁長県政が最重点に取り組んでおり、県議も八重山の実態に即した格差是正のため、非正規の正社員化と貧困に対するセーフティーネット構築に取り組むべきだ。
■基地負担軽減と離島振興
基地負担軽減は基地のない八重山にとっても大きな関心事だ。それは県議会で野党の砂川利勝氏が、「翁長知事は基地問題だけに精力を注ぎ、離島振興策がおろそかになっている」と批判してきた経緯があるからだ。
しかし基地問題に関しては保守・革新を問わず、歴代の知事すべてが基地問題に翻弄(ほんろう)されてきた。県外移設の努力もなしに、いつまでも沖縄にだけ基地を押し付ける今の日本政府のやり方は理不尽な沖縄差別だ。
知事を離島振興に注力させるためにも、与野党が一致して政府に基地負担軽減を求め、知事の負担も軽減させるべきだ。自民県連は政権の圧力に屈し前回の「県外移設」を「辺野古容認」に転じたが、そういう状況では沖縄の声はいつまでも届かないだろう。
離島振興策も何かとリスクの多い自衛隊でなく、離島航空運賃割引制度のように大胆な政策が必要だ。3候補にはそのような政策提案を望みたい。