街路樹のこととなると、じっとしていられない。こんな狭い空間になんでこんな樹種をと通るたび気になる。いま一等気がかりは市内幹線道路で高く育った八重山ヤシ▼元来は山すそや海浜などに似合う高木。それがよりによって万世館通りや市役所前通りで街路樹に採用された。一部は枯れてしまったが過半はずぶとく生き延びている。上部の電線と格闘しているものもある。結構な高さゆえ枯れた葉柄が落下しようものなら通行人にけがをさせないとも限らない▼本島では高くそびえたヤシにどう取り付けたのか葉柄落下防止の網を張ったものがあり無粋な光景を呈している。石垣も管理で苦労しないうちに樹種を代えるか電線の地下埋設を推進したい▼ヤシに似て南国ムードを醸す樹種に檳榔樹(クバ)がある。島のオン(御嶽)には在来のクバが程よい高さに育っている。葉柄も簡単に落ちる心配はない。このところ島の街路樹に採用されることも多く県八重山事務所に至る両側は近年の大型台風にも耐えた▼八重山ヤシと違い、虫による立ち枯れ被害も少なく先行整備された真栄里公園沿いのクバは旺盛に茂っている▼百年先のことは不案内だが半世紀近くはなるだろうクバの街路樹のなごりが4号線沿い登野城に2本、新川の綱引き道に5本つましく立っている。(仲間清隆)
↧