【西表】西表島東部の南風見田海岸に建立されている「忘勿石之碑」までの進入路がこのほど完成した。これまで海岸沿いに8~10分ほどかかっていた碑までの道のりが、進入路を活用することで2~3分で行けるようになり、新たな観光地としての誘客が期待されている。その一方で、進入路には急勾配な階段が多く、「足の悪い高齢者や車いすの人は利用できない」と不満の声が挙がっている。町商工観光課によると、今後は駐車場の整備も行い、本年度中の供用開始を目指す。
同碑は1992年に建立されて以来、忘勿石之碑保存会(平田一雄会長)が毎年、終戦記念日に慰霊祭を開催。参加者は海岸沿いを歩いて碑に向かっていたが、満潮時には砂浜が海水に漬かり、近くの岩場を登らなければたどり着けないことがあった。
進入路は同碑保存会などからの要望を受け、町が国の一括交付金を活用して整備した。
全長108.2㍍、幅員1.5㍍。合成木材の板張りを使ったボードウオーク遊歩道で、モニュメントのアーチも設置されている。建設予定箇所の一部に岩盤があり、基礎部分などを変更したことで、階段が多くなり、急勾配のきつい場所では階段が40段もあった。
平田会長は「こんな急勾配では高齢者や障がい者だけでなく、一般の人でも危険。修学旅行や団体観光客など多くの人が訪れた際に転んでしまってたくさんの人を巻き込んだ大事故になりかねない」と述べた。
今回の進入路の建設について、町商工観光課は「岩盤があって掘削できない場所があり、また、県の保安林でもあるため伐採できない部分もあった。つづら折でスロープなどの考えもあるが、十分な国有地を確保するのが難しく、予算的にも厳しかった」と説明した。