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いつまで「自民一強」か

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■数の力でおごる自公政権

 米大統領選に異変が起きている。民主、共和両党で“泡沫(ほうまつ)”といわれた候補が大健闘しているのだ。特に民主党は大本命のヒラリー・クリントン氏に対し、「社会民主主義者」を名乗るバーニー・サンダース氏が少数の富裕層に富が集中する極端な「経済格差」に反発する若者など貧困層の「受け皿」になって大躍進している。

 日本も安倍自公政権の下、「経済格差」が急拡大し、全体の約4割を占める非正規労働の人々は貧困にあえいでいる。その格差にさらに拍車をかける「労働者派遣法改正案」や、ほとんどの憲法学者が「違憲」を指摘した日本を「戦争する国」に大きく道を開いた「安保関連法案」など、数の力で反対意見を切り捨てる強権政治が横行し、国民の間に不満が鬱積(うっせき)している。

 7月に参院選あるいは衆参ダブル選挙が行われるが、こうした不満は米大統領選同様選挙でぶつけるべきだ。

 そのためには「安倍自公政権」批判の「受け皿」が必要だ。その核となる政党が27日、旗揚げした。民主党が20年の歴史に終止符を打ち、維新の党と合流して衆参156人で旗揚げした野党第1党の「民進党」がそれだ。

■いつまで野党批判?

 ただ民進党に対しては、共同通信の世論調査は「期待しない」が7割近くを占め、民主党政権時代の失政のイメージが依然根強いことを示している。しかしいつまでも「民主はだめだ、共産はだめだ」と野党批判ばかりでは、数の力でやりたい放題の「自公政権」の横暴は止められないし、安倍首相悲願の「憲法改正」も許すことになる。

 衆院で既に3分の2以上の議席を有する安倍首相は、7月の参院選で憲法改正発議に必要な3分の2以上の議席確保を目指すことを表明。そのため衆院解散でダブル選も視野だ。

 その首相が憲法9条改正への突破口にしたい「緊急事態条項」も、ドイツでは同条項に似た「国家緊急権」がヒトラーの独裁政治に悪用された危ういものだ。この憲法改正に絡んで昨年7月、首相の盟友の麻生副総理が「ナチスに学んだら」と発言し批判されたがその手口に学んでいるのだろうか。

■野党共闘で暴走阻止

 昨年9月、国民の反対を押し切って強行成立させた「安保関連法」は29日施行され、日本はいよいよ「戦争する国」に踏み出した。そして28日にはその最前線基地として与那国に八重山初の自衛隊基地が発足した。与那国のこれからが気がかりだ。

 これに対し安保関連法案に反対して国会前で大規模なデモや集会を開いた若者グループの「シールズ」やママの会、憲法学者らの市民団体らは今度は「法廃止」を掲げ、参院選に向けて野党共闘を呼び掛けている。

 これに応えて共産党が一人区で候補者を取り下げるなど、各選挙区で民進党を軸に野党共闘が進んでいる。

 「安倍一強」の横暴で危機に陥っている民主政治を維持・発展させるには批判の受け皿となる「対抗勢力」が必要だ。そのために有権者もいつまでも野党をこき下ろすのでなく、民進党や共産党、社民党、生活の党などの「対抗勢力」を積極的に育ててゆく必要がある。今度の選挙はその好機だ。


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