与那国島に28日、県内の自衛隊施設としては復帰後初めて隊員が160人規模の陸上自衛隊沿岸監視隊が配備された▼日本最西端の国境の島は、中国の海洋進出をにらんだ南西諸島の防衛力強化を目的とした最前線基地として、久部良と祖納で整備中のレーダーなどを使って沿岸の艦船、上空の航空機などを監視する任務を行うとみられている▼片や石垣島では陸上自衛隊の配備計画をめぐり、新たな懸念が起きている。候補地には地対艦ミサイル、地対空ミサイルを運用する部隊の配置が明らかになり、そのために監視用レーダーが設置されることになっている▼使用するレーダーの周波数によって、於茂登岳の麓にある国立天文台VERA石垣島観測局の電波望遠鏡による観測が影響を受け、銀河系誕生の仕組みなどを解明する国立天文台のプロジェクトを阻害する可能性があるとして、専門家の間で懸念の声が広がっているというものだ▼世界的にも注目を集める国家的プロジェクトが、陸自の配備によって頓挫するようでは、美しい星空を観光客誘致の目玉に掲げる石垣市にとっても損失は計り知れないのではないか▼石垣島の平和的な未来を見据え、陸自配備という政治的な判断がこれほど大切な時はないということを心にとどめ、足元をしっかりと見つめたい。(鬚川修)
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